身体の不調


 

■摂食障害、過食嘔吐 /Lさんのお悩み

 

なにをどれだけ食べたらいいのかわからず、大量に食べたあと、罪悪感で吐いてしまう。痩せないと愛されない、可愛くない、きれいじゃない、と思うと食べられなくなってしまい、急激に痩せてしまうこともあった。

自分のセルフイメージがよくわからない。

 

<幼少期の状況とセッションの主な内容>

Lさんは、二人姉妹の長女。

幼少期、Lさんの母親はよく実家に帰り、実家の家業を手伝っていた。

父親はギャンブル依存で借金を繰り返す。

母親はLさんがいい子だと可愛がり、そうでないと急にイライラしてヒステリックになった。

 

母親の実家は、母親の父(祖父)が母(祖母)に辛く当たっていたので、Lさんの母親は祖父を憎んでいました。だから、ギャンブルをする夫に祖父を投影し、「男は嫌!」と、自分に近づけませんでした。

Lさんの父親は妻が自分を認めてくれないことに寂しさを感じており、寂しいと騒ぎを起こす、ということをしていました。

 

夫婦仲がうまくゆかないと、母親が「頼りになるのはお前しかいない」と近寄り、親戚の悪口をきかせたり、誰かの見た目やしつけについて文句をいうのを聞いて、「自分は母親を喜ばせる自分でいないといけない」と思うようになりました。

20代はダイエットに励み、かなり体重を落としました。

やせたら母親に喜ばれたので、太るとまたダイエットをする、食べ過ぎたら吐く、ということをしているうちに、過食したら嘔吐する、ということが日常化してきていました。

30代になって、嘔吐はだいぶ治まったものの、なにをどれだけ食べていいのか?

満腹中枢がおかしくなっているような感じがするようでした。

 

セッションで「母親が父親を殺してしまうのではないか?」という母親の殺意のようなものを感じていて、本当はいつも怖かったということに気付き、恐怖を解放してゆきました。

その中で自分がちゃんとしていたら、母親の気持ちが少しは穏やかになる、だから、いいこにして頑張ってきた。ちゃんとしていたり、よくできると喜んだが、できないとボロクソに言われ、どうしたらいいかわからず、よく頭が真っ白になっていたことを思い出しました。

「どうしたらいいかわからなくなると、とりあえず、いいこで可愛らしくしていたら、母親が安心するので、無意識にいつもいいこで可愛らしくしようとしている、正しいことを求めている」自分に気づいてもらいました。

 

「いいこで正しい自分になることが本当にLさんのしたいことなの?」と聞くと、「本当は自分を見てほしかっただけ」「わかってほしかった、寂しかった」とひとのあたたかさを感じながら、自分の中の寂しさを解放してゆくワークをしました。

 

両親はひとを信用していなかったけれど、自分はひとを信じたいし、ひとと繋がりたい。

寂しさを食べ物で埋めるのではなく、食事は好きなひとと楽しくしたいと思っていることに気づいたようでした。

 

「今、なにが食べたいのか?」がわかるようになり、料理に興味を持つようになった。 食事が美味しいと思えるようになった。「過食嘔吐」という症状はなくなった、とのことです。


 

■不眠、過緊張 /Mさんのお悩み

 

いつも緊張しているが、したことのない仕事をするとき、極度の緊張状態になる。

初対面のひとに会うときも、とても緊張する。

笑顔を作って会話をする感じで顔がこわばるのが自分でもわかる。

肩こり、首のこりがいつもあり、よく眠れないことも多い。

明日、大きな仕事だと思うと、明け方まで眠れないこともある。

休日はどこにも出かける気が起きず、狭いところにじっとしていたいと思う。

 

<幼少期の状況とセッションの主な内容>

Mさんは、二人姉妹の長女。

幼少期、両親がよく喧嘩していた。父親はギャンブル依存で借金を繰り返す。

母はいつもお金のことで苦労していて、1ヶ月に数回はヒステリーを起こしていた。

自分は早く自立しないといけないと思った。

 

母方の祖父が暴力をふるうひとで、Mさんの母は祖母やきょうだいを殴られるのを見てきて育っていました。戦争で疎開したため、いろいろな場所を転々とし、居場所がなかったという母の幼少期。

祖母の勧める男性(父親)と結婚したが、夫に祖父への怒りをぶつけていたようでした。

「自分はちゃんとしているのに、いつも被害にあう」という感覚は母方の祖母、母親、そして、Mさんも

受け継いでいました。

 

そして、「出たくない、怖い」「現実を見るのが怖い」という感覚から、バーストラウマを扱いました。Mさんは母親のお腹にいるときから、夫婦が喧嘩しているのを聞いていました。

「喧嘩しないで!お父さんを悪者にしないで!」と震えながらどうしていいかわからない状態。

「大きくなって外に出ても、母親は自分をちゃんと見てはくれないので、ここから出たくない。

生まれたらいいこにして演技しないといけないから嫌」と外に出るのを怖がっていました。

この感覚はずっとあたようで「朝が来るのが怖い、ここから出たくない」という感覚と同じでした。

 

Mさんが命をもらったのは、両親のことで苦しい思いをするだけのためじゃない。

会いたいひとに会って、行きたいところに行って、作りたいものを作って、幸せを感じるためだということを思い出していただき、生まれ直しをして理想のお母さんに誕生を喜んでもらい、しっかり受け止めてもらう、ということを経験してもらいました。

 

その後、Mさんは夜ぐっすり眠れるようになり、緊張することはあっても、リラックスできる時間も増えてきたそう。 朝が怖い、閉じこもっていたい、という感覚も薄くなってきたとのことでした。


 

■PMS /Nさんのお悩み

 

生理前になると、イライラして、急激にひとを憎いと感じる。

旦那さんが自分の言うことを聞いてくれなかったり、思うようにしてくれなかったりすると、暴言を吐き、「離婚する!」と大声で怒鳴ってしまう。

職場でもひとのことが気になり、「あのひとはどうしていつもこうなんだろう」とイライラして、意地悪をしてしまう。

上司に自分を認めて欲しいと思っている、他のひとが褒められるとイライラする。

 

<幼少期の状況とセッションの主な内容>

Mさんは3人きょうだいの長女。

父親はいつも仕事で家にいない。

母親は父親の悪口を言いながら、「男は頼りにならない」「どうしようもない」が口癖。

母方の祖父は酒癖が悪く、借金、浮気を繰り返していたため、長女だった母親は実家のために働いて、家を助けてきた。祖父は「子供は親のいうことを聞くもの」と断言していたので、さからえなかった。祖母はいつも辛そうだったので、母親は「おばあちゃんはかわいそうだった」と自分の母を美化していた。

 

Mさんには父親が自分を可愛がってくれた記憶があるので、父親が大好きだったが、母親に気を遣い、それを表現できませんでした。母親はいつも自分が正しいと言い、Mさんの間違いを指摘するので、母親をたてていました。

 

母親が辛そうだったので、結婚して家を出るときも罪悪感があり、よく実家に帰っては母親の愚痴を

聞いてあげていました。自分は親になにもしてあげていないので、旅行に連れて行ってあげない自分、

同居したくないと思う自分を責め、母親への罪悪感を抱えていました。

 

PMSは生理前のホルモンバランスが不安定になるときに、感情の起伏が激しくなる状態ですが、Mさんがどんな感情になるのかを感じてもらいました。旦那さんに向かって「なんでわからないのよ!」「どうしていつもそうなのよ!」と叫んでいただくと、母親が父親に向かって発していた言葉と同じでした。本当は寂しくて、不安で怖い、いつもひとりぼっちで頑張っても誰も味方をしてくれない、という感覚が出てきました。

 

Mさんの母親の感情を追ってゆくと、「自分がなんとかしないと家がバラバラになってしまう!

母親(祖母)が死んでしまう!」という恐怖が出てきました。

 

この恐怖をMさんは背負い、握りしめながら、自分を正当化しつつ頑張ってきたのです。

 

いいひとでいることで母親を喜ばせ、罪悪感で親とつながるのは、母親と同じでした。

役割を演じているのはストレスが溜まりますので、ホルモンバランスが崩れると、感情が不安定になり、抑圧が効かなくなります。そんなときに、自分の恐怖を受け止めてくれないひと、わかってくれないひとにたいして、一気に噴き出してしまっていました。

 

Mさんの「母親がどうにかなってしまう」という恐怖を受け止めてもらい、本当は無邪気に両親に甘えたかった。本当はお父さんもお母さんも大好きで、家族で笑顔でいたかった。みんな一緒にいたかったと号泣。そして、こんなに頑張っても両親が仲良くしてくれない怒りのエネルギーを解放しました。

 

わたしはもっと旦那さんと仲良くしたいし、もっと近づきたい。

自分の至らないところは見直して、夫婦ふたりで助け合ってゆきたい。

お母さんと同じように夫を下にして自分を上にして優越感を感じる生き方はしたくない。…と思っていることに気付き、困ったときは「聞いてもらえる?」と旦那さんに相談できるようになりました。

 

その後、Mさんは夫婦仲も良くなり、PMSによるイライラは全くなくなったと報告をいただきました。