生きつらさ


 

■将来が不安、幸せがわからない / Iさんのお悩み

 

食べることには困らないように資格を取り、自立してひとりで暮らしてきた。

友達もいるが、本当に心を許せたり、本音で話がでいるひとはいない。

ひとに甘えるひと、できないひとをみるとイラッとしてつい怒り口調になってしまう。幼少期の記憶もあまりなく、未来も見えない。

 

<幼少期の状況とセッションの主な内容>

Iさんは「どうなりたい」という意思の力もなく、先が見えない状態のようでした。

「自立して、ひとりで生きてきたのはなぜ?」と聞くと、母親から

「自分は苦労してきたから女性でも手に職を持ったほうがいい」と言われて自立を促されたとのこと。

 

母親の実家を見てゆくと、母親は8人きょうだいの6番目。

親よりも姉に育ててもらったような感じのようでした。

早く家を出るために気の進まない結婚をし、我慢しながら父の実家の農家を支えてきた母親。

母親は祖母にいじめられ、隠れて泣いていたのをIさんはよく見ていました。

 

母親はいつも「実家に帰りたい」という意識があったため、I さんは「お母さんがいなくなってしまうのではないか?」「自分を置いて出て行ってしまうのではないか?」という恐怖に怯えていました。

その恐怖を扱い、「寂しいときや怖いとき、自分の感情を感じて、誰かを頼る、あたたかさを求める」という練習をしました。自分の感覚を消して、母親の迷惑にならないように、母親が自分のせいで家から追い出されないように、という気遣いをしてきた悲しみが出てきました。

 

まずは自分の感情を失ってきていたので、ひとはあたたかい、ひとは自分を受け入れてくれる、という感覚を体に入れてゆき、安心して感情を感じることを自分に許すことを練習してゆきました。

セッションで甘えることや癇癪を起こすワークをして、身体を使って子供の体験をしてもらいました。

 

最近では、ひとにイライラすることがなくなり、友達を信用したい、と思えるようになり、悩みを相談できるようになったとのことです。 そうすることで、未来に希望が持てるようになってきました。


 

■死にたい衝動がある / Jさんのお悩み

 

責任ある仕事を任されるのは嬉しいが、本当は自信がない。

でも、できないとは言えず、常にプレッシャーを感じながらひとりで頑張ってしまう。うまくできないと、自分は死んだほうがいいんじゃないかと思ってしまう。いつも可愛らしく、仕事もできて、ちゃんとしていないとだめな人間だと感じてしまうので、情報を取り入れようとたくさんの雑誌を読んだりネットに依存してしまう。

急に疲れてしまって、「死んでしまいたい」と思う。

 

<幼少期の状況とセッションの主な内容>

Jさんの母親はキャリアウーマンで、夫に頼ることをしないで、ひとりで必死に頑張ってお金を稼いでいた。母親の実家は母の弟を可愛がり、長男として跡取りにしていた。

そのため、母親は自分の自己価値を示すために、男性のように働くことで、自分のことを認めておらおうとしていた。父親は自分の姉のような妻を頼り、自分は外でギャンブルをしても妻がなんとかしてくれるので、子供のようにふるまっていた。

 

幼少期のある日、Jさんは知らない男性から性的ないたずらをされたが、仕事で忙しくしている母親に言えませんでした。父親に伝えても、「お母さんに言って」と言われそうなので、なかったことにするしかなったとのこと。

 

このトラウマは相当な恐怖でしたが、Jさんは親の行く手を阻まないように、自分の恐怖をないことにすることで母親の面倒を見ていました。本当はお母さんに一緒にいてほしかった。助けてほしかった。

でも、「ひとは信用できない、受け入れてもらえない、だから自分は我慢するしかないんだ」と自分の感情にフタをしてきたことに気づいてもらいました。

 

セッションで性的な虐待をした相手を倒し、大人に守ってもらう、というワークをして、

大人がJさんを守ってくれる、これは犯罪で、自分は悪くないし汚れていない、そして、本当は「怖かった、誰かに助けてほしかった」ということを感じてもらいました。

 

そして、「自分はだめな人間なんだ、死んだほうがいい」という気持ちを持つことでのメリットを聞いてみると、「お母さんのためにがんばれる」「自分を嫌いでいることでお母さんを助けられる」という思い込みがあったことに気付き、そうやって頑張って被害者になっていたとしても、決してお母さんは受け取らないし、ひとりで頑張る人生を変えることはない、ということに気づいてもらいました。

 

母親からの承認を諦めることで、自分は自分を思ってくれるひととつながりを繋がっていいんだ、ということ。「両親を自分なりに大切に思っていてもいいんだ」ということを腑に落としていただきました。

 

現在は母親の人生を客観的に見ることができるようになり、仕事もマイペースで楽しめるようになり、 死にたいという衝動はなくなったとのことでした。


 

■依存症(アルコール、タバコ、過食) / Kさんのお悩み

 

ストレスが溜まると、アルコール、たばこ、過食に逃げる感じがある。

恋愛もうまくゆかず、自分を大切にしてくれないひとばかり。

仕事も我慢が多く、仕事で遅くなると、夜中にお菓子を一箱開けないと気が済まない。

<幼少期の状況とセッションの主な内容>

幼少期、Kさんの両親は不仲で、母親はKさんをかわいくないと罵倒。

母親は弟ばかりをかわいがっていた。

父親は比較的Kさんを可愛がってくれたが、母親が自分にやきもちを焼き、意地悪をされるので、

父親が可愛がってくれることもとても怖かった。

母親の実家は長男だけを可愛がり、母親は自分を認めてくれないことで実家の両親に大きな憎しみを持っていた。

 

母親は大きなストレスをKさんに向けるので、「自分はかわいくない、ひとの心をイライラさせる存在なんだ」と思うことにして、母親のストレスを軽減させる役割をしてきたようでした。

 

その母親の怒りを自分に向け、自分をいじめ抜いてきたことに気づいてもらいました。

(アルコールもタバコ、過食も自分をいじめるためであり、口に入れると満足して幸せを感じることもできるので依存していた)

 

そして、自分をかわいがってくれた父親の悲しみを請け負っていたので、自分は絶対に泣いてはいけなかったし、甘えられなかったし、子供のようにかんしゃくを起こしたりすることもできなかった、ということに気づいていただきました。

 

その後、Kさんは長時間号泣して、本当は子供として親に甘えたかった、見てもらいたかった、という気持ちが自分の中にあったことが腑に落ちたようでした。

ひとに受け入れてもらう、甘えたいだけ甘える、というワークをしました。

 

その後、自分をいじめるためにお酒を飲んだり、タバコを吸ったり、過食することはなくなったようです。